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自動売買をターゲットに

金利や為替レートや株価などの変動メカニズムを理解したい人は、まずマクロ経済学を学ぶといいでしょう。
このとき、預金の価値がインフレによって目減りする可能性は、2つあります。 まず、預金金利は、金融機関同士での取引の金利に連動して設定されますが、銀行が預金サービスをおこなう上でのコストや利益が差し引かれますので、7%よりは低くなります。
この差し引かれる幅を利ザヤ″と呼ぶことにすると、利ザヤが実質金利よりも大きく、たとえば3%であれば、預金金利は4%になってしまいますから、もし予想通り5%のインフレが起きたら、預金の価値は1年で1%分だけ目減りします。 預金金利の設定の際に、利ザヤが実質金利を上回るかどうかは、預金者と銀行の力関係によります。
単純に、大口の預金と小口の預金に分けて考えると、いろいろな銀行が大口の預金については獲得競争をするでしょうから、多くの銀行で、実質金利よりも小さな利ザヤが設定されるのではないでしょうか。 そうなれば大口の預金は、予想範囲内のインフレが起きても価値が目減りしないことになります。
ここでは仮に、期間1年での実質金利は2%とします。 すると、予想されるインフレ率の5%に実質金利の2%を加えて、7%が金融機関同士の貸し借りでの名目金利となります。
小口の預金ではある程度大きな利ザヤを設定しないと、銀行は採算が取れないでしょうから、場合によっては、実質金利を上回る利ザヤが設定され、預金金利が予想されるインフレ率を下回るかもしれません。 しかし、ネット銀行(インターネット専業銀行)のように、店舗をもたずに低コストで預金サービスを提供する銀行は、小口の預金に対しても比較的高い預金金利を提示してくれます。

いろいろな銀行の預金金利を比較して預け先を選ぶという手間さえ惜しまなければ、予想されるインフレに負けない預金を探すことは可能だと思われます。 ここまでは説明のために、1年もの円定期預金を前提に話をしてきましたが、本章執筆時点(2005年2月14日調べ)では、各メガバンクの1年もの円定期預金の金利は、大口でも小口でも0.03%で同じです。
ところが、いつでも引き出し自由の普通預金の中にも、10万円以上預けるとか、給料の振込口座に指定するなどの一定の条件(銀行ごとに異なります)を満たせば、各種の優遇サービスが受けられる普通預金があります。 このタイプの普通預金金利も年0.03%で、1年もの円定期預金と同じなのです。
また、ネット銀行の普通預金の金利は年0.05?0.06%で、さらに高くなっています。 日本で金利の自由化が完了し、ネット銀行が営業を始めてから今日まで、インフレ率が高くなった経験がありませんから、これは想像でしかありませんが、将来、予想されるインフし率が高くなったときにも、それより高い金利がつく普通預金や定期預金が、ネット銀行では用意されるのではないでしょうか。
預金者がインフレによって実質的に損をする、もうひとつの可能性とは、予想を超えたインフレが生じるケースです。 先の仮定のまま、現在から将来にかけて年5%のインフレが予想されているとしましょう。
預金金利は年6%とします。 もし将来、予想を超えてインフレが進み、1年後の物価が現在より8%上昇していたとすると、結果としての実質金利はマイナス2%になり、それだけ価値が目減りすることになります。
預金は、予想を超えるインフレには弱いのです。 普通預金・決済用預金・定期預金のちがいさて、21世紀に入ってから数年間の日本では、厳しい不況のために物価が少しずつ下がりました。
これをデフレと呼びます(デフレーションの略称です)。 その一方で、将来のインフレを心配する人もいて、また、2005年4月からのペイオフ完全解禁(全面解禁)によって銀行の経営破綻時に預金が戻ってこない危険性も高まりましたから、デフレ・インフレと現金・預金の関係を正しく理解することが重要になっています。
これまでの話もふくめて整理しておきましょう。 ペイオフについてはすでに十分理解している読者も多いと思いますが、簡単に、ペイオフ完全解禁について述べておきます。

銀行が経営破綻したときに、その銀行に預けていた個人や企業の預金はすべて保護されるわけではありません。 例外となる預金を除き、1000万円までの預金元本とその利息は保護されますが、それを超える預金については、破綻時の銀行の資産・負債状況に応じて、一部削減された金額しか払い戻されません。
この清算処理の方法をペイオフと呼びます。 *本当は「預金保険機構が……」といった説明をすべきなのですが、本書では省略します。
ペイオフが心配な人は、自分の取引銀行に行き、ペイオフについて書かれたパンフレットをもらってくるといいでしょう。 ただし、「ペイオフ対策の商品です」などと勧誘される金融商品のパンフレットをもらう必要はありません。
2005年の3月まで、普通預金は例外として全額保護されていたのですが、4月から普通預金もペイオフの対象になりました。 これがペイオフ完全解禁の意味です。
一方で、無利息型普通預金とか決済用普通預金などと呼ばれる、新しい決済用預金″が創設され、これは全額保護されますが、「利息がつかないこと」などが条件となっています。 企業などが決済に使う当座預金も利息はつかず、決済用預金にふくまれるために全額保護されます。
現金、(金利のつく)普通預金、(金利のつかない)決済用預金の3つが、物価の変動によってどのような影響を受けるのかを図示しました。 普通預金としては、先に紹介した優遇金利のつく普通預金を想定しています。
現時点で同じ1万円の価値をもつモノ・現金・普通預金・決済用預金について、@?Bのケース別に、将来(1年後)の価値を比較してみましょう。 @は将来にかけて物価が下落するデフレのケースで、ここでは1年で2%の物価下落が生じて、モノの価格は9800円にまで下がるとしましょう。
現金1万円は将来もそのまま1万円として使えますから、実質的には2%(200円)分だけ余分にモノが買えるようになり、価値は上昇することになります。 仮に、普通預金には先に紹介した金利の年0.03%が適用されると考えましょう。
1万円の預金では、1年後につく金利は3円だけですが、やはりモノの価格が下がっていますので、実質的には203円だけ余分にモノが買えるようになります。 また、利息がまったくつかない決済用預金に預けた1万円は、現金と同じように1年後も1万円のままですから、実質的に200円分の価値が増えたことになります。
デフレが長期化している状況下では、現金や預金の実質的な価値はどんどん上がりますから、じっと現金や普通預金に預けている人は、結果として賢明な資産運用をしていると評価していいのです。 だからこそ、銀行などの金融機関は、預金者のおカネを株式投資信託や外貨預金などに振り向けさせるのに苦労せざるをえず、その悪戦苦闘の中で、これまでに紹介したような広告がひねり出されたわけです。

物価が上昇するケースをみますが、もともと年6%のインフレ率が予想されているのに対し、実際には1年後までに5%の物価上昇が生じるとどうなるかを考えています。 これは予想範囲内でのインフレです。

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